
(東洋経済新報社・3080円)
進歩的資本主義が導く処方箋?
参院選が終わったばかりだが、反グローバリズムとポピュリズムの高波が日本にも到達した。現在多くの先進国を襲っている格差社会、中流階層の崩壊、社会的流動性の喪失現象は、1980年代以降の新自由主義的資本主義の帰結である面は多々あるだろう。国際的により安価な労働力を求めてサプライ・チェーンが確立され、先進国の製造業は途上国へ流出した。米国内では金融業、IT産業に富が集中し、新しい「貴族階級」を作り出している。
経済的な自由は政治的な自由と公平の問題と強くつながっている。本来経済学は高度に政治的な学問でもあるはずだ。スティグリッツも言う通り、アダム・スミスの時代にはこの二つの学問は切り離されてはいなかった。しかし今の時代、経済学者と政治学者は互いの言語が理解できなくなっている。もう一度経済学と政治学をつなぎなおし、新自由主義の何がどのように適切でなかったのか、きっちり説明する必要がある。
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