スマホで地震検知し警報配信 グーグル「25億人に観測網広がる」

Date: Category:環境・科学 Views:2 Comment:0
トルコ・シリア地震から約1カ月後のトルコ南部アンタキヤ中心部=2023年3月1日午後3時54分、三木幸治撮影 拡大
トルコ・シリア地震から約1カ月後のトルコ南部アンタキヤ中心部=2023年3月1日午後3時54分、三木幸治撮影

 米IT大手グーグルが開発した、世界中のスマートフォンを「ミニ地震計」として活用し、地震を検知したり警報を配信したりするシステムについて、同社と米カリフォルニア大バークリー校のチームは「国家による既存の地震速報システムに匹敵するほどの有効性を確認できた」と、17日付の米科学誌サイエンスに発表した。日本のような地震観測網のない国や地域で、地震被害の軽減が期待される成果という。

 このシステムは「アンドロイド・アースクエイク・アラート」(AEA)と呼ばれ、2021年から本格的に運用が始まり、現在98カ国に普及している。グーグルの基本ソフト「アンドロイド」を搭載したスマホに内蔵された加速度計が、地震による加速度の急上昇を検知し、サーバーにデータを送信。グーグル側で地震波の到達時刻などから震源やマグニチュード(M)を特定し、強い揺れが想定される地域のスマホに警報を出す。

米グーグルの本社=米西部カリフォルニア州マウンテンビューで2023年11月18日、大久保渉撮影 拡大
米グーグルの本社=米西部カリフォルニア州マウンテンビューで2023年11月18日、大久保渉撮影

 チームによると、運用開始後3年間で、M4・5以上の地震を平均月約60件検知。警報を受信した人の85%が実際に揺れを感じたという。地震の揺れの前に受信したのは36%だった。

 緊急地震速報は1991年、世界で初めてメキシコ市で導入され、07年以降、日本や台湾、韓国、米国などが整備。現在、世界約2億5000万人がカバーされている。ただし、他の地震国の大半は観測網がなく、AEAが加わったことで対象は約25億人に広がるという。チームは「AEAは既存の国家システムに匹敵する有効性で地震を検知し、大規模な警報を発令できることを実証した」としている。

 緊急地震速報の開発や改良に携わる京都大防災研究所の山田真澄准教授(地震学)は「観測網がなく手に入りにくかった途上国の震源や震度分布などの情報が迅速に、観測網整備の新たな予算をかけずに利用できることは非常に重要」と語る一方、「スマホ内蔵の加速度計では大地震の長周期地震動を捉えることは難しく、グーグルがどう処理したのか気になる」と指摘した。【垂水友里香】

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