
東北大で、雇用期間の定めの無い正職員として採用されたはずなのに解雇される人が相次いでいる。2017年に導入した「限定正職員制度」に合格した人のうち、25年3月までに69人が解雇されたことが、東北大職員組合の調査で判明した。大学側が「無期雇用と同等」と位置付けて導入した制度にもかかわらず、安定的な雇用につながっていない実態が浮かんだ。
大学での導入珍しい「限定正職員制度」
13年に改正労働契約法が施行され、通算の契約期間が5年を超えた労働者(研究者は10年)は、期限のない雇用へ転換する権利「無期転換権」が得られるようになった。ところが東北大はこれを受け14年、就業規則を変更し、有期職員を一律5年で雇い止めする方針を打ち出した。無期転換権を得る人が一切出ない運用としたうえで、「無期転換と同等の効果」として、試験の合格者を限定正職員として雇用することとした。
限定正職員制度は、政府が掲げる「多様な正社員」のモデルの一つ。勤務内容や勤務地、労働時間に一定の制限を設けた正社員制度で、多くの企業で取り入れられている。だが、単年度の研究プロジェクトを多く抱える大学での導入事例は珍しい。
そのため東北大では研究プロジェクトの終了や、研究室を率いる教授の退職などに伴う解雇が相次いでいる。職員組合によると、18年4月から働き始め、…
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