門川紳一郎さん 『ぼくのデフブラらいふ』

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 ◆門川紳一郎(かどかわ・しんいちろう)さん

 (ころから・2200円)

「夢があれば頑張れる」盲ろう

 目が見えず耳も聞こえない。著者にとってはそれが普通だ。書名の「デフブラ」は、英単語の「デフブラインド」(盲ろう)を短縮した。

 勤め先の全国盲ろう者協会(東京都新宿区)でのインタビュー時は、著者の脇に介助者として妻由美さんが座り、記者の質問を「指点字(ゆびてんじ)」で同時通訳してくれた。盲ろう者の両手に介助者が手を重ね、点字を打つようにタイピングすることで情報を伝える方法だ。

 著者は関西のイントネーションで穏やかに話す。「本を書いた動機ですか。マラソン大会に出るため走り込んだら靱帯(じんたい)を断裂してしまい、手術とリハビリで2カ月入院し暇だったからですよ」と照れる。しかし本書の「まえがき」では四つの動機を真っすぐに記す。多様性が叫ばれる社会でさえ、盲ろうという重複障害者の存在がよく知られていないこと。盲ろうの当事者による著作が極めて少ないこと。自身の人生の記録を残そ…

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