国内で観測史上3位の暑さを記録したのにプールにも入れない。兵庫県丹波市では猛暑に加え、水不足の対応に追われている。豊岡市も一部地域で上水道の節水を呼びかけ、加古川市でも農業用水などの取水制限が始まった地域も。県内で水不足の影響が広がっている。
昨年は1万人が訪れた人気の流れるプールの水がうっすら緑がかっていた。丹波市春日町の市立春日総合運動公園レジャープールは7月25日まで3日間営業しただけで休業した。水源の三宝ダムの貯水率が低下したためだ。
同市柏原町では同30日に41・2度を記録した。同ダムの貯水率は低下を続け、5日午前8時現在で34・5%。大路地区(800世帯)に水道や農業用水を供給するが、市は対策本部を設置し、貯水率が20%を切れば計画断水をするという。
大路地区で田んぼに水を入れていた住民男性(67)は「ため池の水量も減り、稲が枯れるのを防ぐくらいにしか入れられない。雨が降ってほしい」とため息を漏らしていた。
農業用水も深刻
豊岡市は4日、市内の城崎・但東の2地域と円山川河口部の港地区の一部の計約4100世帯に上水道の節水協力を呼びかけた。市によると、水源となる河川水(表流水、伏流水)の取水率が通常時に比べて下がっている一方、お盆の帰省時期には使用量が3割程度増える傾向があるのが理由という。
農業用水不足も深刻になっている。市は河川から取水する小型ポンプを取り扱う販売店で在庫がないと聞いているとして、ポンプと発電機のセットの貸し出しを始めた。建設業者の協力でレンタル用約20セットを確保。相談のあった米農家などに順次、貸し出しているという。
同市但東地域のピーマン農家では8割が水まき装置を使っているが、湧き水などの山水の枯渇を心配する声が市に寄せられている。既に水不足のため茶色に変色する日焼けや、果肉の下部が黒く変色する尻ぐされが起きている。特産の「豊岡ぶどう」も水分不足で小玉になり、収量が減る恐れがあるという。
雨平年の1割も
今年の近畿地方は観測史上最も早い6月27日に梅雨明けが宣言された。気象庁のホームページによると、県北部や西部の7月の降水量は少なく、姫路市が平年の5割、丹波市柏原町で同3割未満、豊岡市では同1割となっている。
県北部を源流にする加古川水系のダムでも貯水率が低下。4日現在で神戸市や明石市などの水源となっている呑吐ダム(三木市)は34・6%、大川瀬ダム(三田市)が58・4%と平年の80%前後を大きく下回っている。両ダムとも7月11日から取水制限を10%から20%に強化した。
また、加古川大堰(加古川市)の貯水率も65・1%と減少。大堰以南の加古川、高砂両市で4日から工業用水15%、7日から農業用水25%の取水制限を実施することが決まった。2009年以来16年ぶりだという。
神戸地方気象台によると、7日は日本海から前線を伴った低気圧が南下し「曇り時々雨」の予報。その後、前線が押し戻され北上するとみられる10、11日も「曇り一時雨」としている。気象台の担当者は「前線がどこまで南下するかが降水量に影響する。うまく恵みの雨になるのか、降ってみないと分からない」と話す。【幸長由子、浜本年弘、栗田亨、稲田佳代】
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