
政府と東京電力は、2051年までに福島第1原発を廃炉にする計画だ。しかし、専門家からは「51年は困難」との意見が相次ぐ。何が特に難しいのか。1~3号機の格納容器底部に溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しは廃炉の「本丸」とされるが、それ以前に大きな障壁があることが分かってきた。
「もともと困難」
「より困難になったかというと、私自身からすると、もともと困難」。7月29日、東電と廃炉工法を検討する「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」(原賠機構)の更田豊志・廃炉総括監は、記者会見で51年までの廃炉について問われ、率直な思いを語った。
工程を検討していくと「本丸と同じくらいのチャレンジ」が見えてきたという。
燃料デブリの総量は1~3号機で推計880トン。東電は51年までにすべての燃料デブリを回収する方針だ。しかし、これまでに回収したのは2号機のわずか計0・9グラム。着手は21年の計画から約3年遅れ、24年11月に初めて0・7グラムを回収できた。
本格的な取り出しは3号機で始める。工法は水を掛け流しながら空気中で取り出す「気中工法」と、充塡(じゅうてん)材で固めてから取る「充塡固化工法」を組み合わせる工法が検討されて…
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