高校野球・夏の甲子園1回戦(6日)
○鳴門(徳島)5―4天理(奈良)●
夜空に浮かんだ白球が、レフトスタンドに向かってぐんぐん伸びた。
1―3で迎えた四回無死一塁。「5番・投手」で打席に立った鳴門の橋本朋来は、初球のやや高めに浮いた変化球を思いっきり引っ張った。
実は「バントのサインだったんですけど、間違ってしまって……」と明かす。結果的に、自らを助ける同点2ランとなった。
「打った瞬間は(ナイターで暗くて)打球が見えなかったけれど、審判が腕を回したのを見て(スタンドに)入ったのかなと。気持ち良かったです」。穏やかな笑顔で振り返った。
投手としては、一回に自らの悪送球も絡んで2点を先取されるなど、二回までに3点を失った。追いかける展開で会心の一振りが飛び出すと、その後も粘り強く投げ、最後までマウンドを守り切った。
今夏は徳島大会で打率5割をマーク。エースと中軸の打者を兼ねて、チームを3年ぶりの夏の甲子園に導いた。
ナイターは地方大会でも経験があった。この日も、起床時間を調整したり仮眠を取ったりするなどの対策を取り「不安はなかった」という。
それでも、甲子園のナイターはやはり特別だった。「明るくてやりやすかったし、スタンドも沸いていて楽しかったです」。かけがえのない経験とともに、その景色を目に焼き付けた。【深野麟之介】
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