大川原冤罪 警察庁「指導助言が望ましかった」 報告書公表

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中央合同庁舎第2号館に掲げられる警察庁・国家公安委員会の看板=東京都千代田区で2022年8月25日午後2時38分、北山夏帆撮影 拡大
中央合同庁舎第2号館に掲げられる警察庁・国家公安委員会の看板=東京都千代田区で2022年8月25日午後2時38分、北山夏帆撮影

 化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪(えんざい)事件を巡り、警視庁を指導する立場の警察庁は7日、法令解釈に関する警視庁と経済産業省との協議への関与や、適正な捜査のための助言がなかったとする検証報告書を公表した。今後は協議に警察庁が参加することや、不正輸出事件では、原則として容疑者の取り調べの録音・録画(可視化)を任意の段階を含めて実施するよう全国の警察に指示するとした再発防止策をまとめた。

 検証は監察部門が実施し、警視庁公安部から報告を受けていた警察庁外事課の歴代の課長や課長補佐ら十数人への聞き取りをした。

 報告書によると、公安部が独自に解釈をした経産省の輸出規制省令については、公安部から2017年12月に「経産省から規制対象に該当するとの回答が得られない」、18年2月には「経産省が規制対象に該当する可能性を示唆した」とする内容の報告が来ていた。

 だが外事課の課長補佐は「経産省との協議はいつものことで、問題意識を持たなかった」として詳細を確認せず、上司にも報告しなかった。報告書では「法令解釈について統一的な基準を明確にするなどの観点から、協議に主体的に関与すべきだった」と指摘した。

 また、外事課に残る19年2月の書類には、噴霧乾燥器の温度が上がらない箇所があるという大川原の従業員の供述も含まれていた。だが、当時の外事課長や課長補佐らは供述の重要性を認識していなかった。

 報告書は「消極要素の慎重な検討を促すなど指導助言をすることが望ましかった」とした。

 再発防止策としては、不正輸出が疑われる情報があれば、経産省に調査を求めるとした。また、摘発に至らなくても、未然に不正輸出を防いだ都道府県警は積極的に評価。警察庁警備局に「適正捜査指導室(仮称)」を新設し、事件捜査の経験が豊富な刑事部門出身の捜査員らが指導にあたることも盛り込んだ。【山崎征克、朝比奈由佳】

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