広島市で6日に開かれた平和記念式典で石破茂首相が行ったあいさつが注目されています。X(ツイッター)では「自分の言葉で語っている」と多くの人が評価し、専門家も「戦後80年にふさわしいメッセージだ」と話しています。過去の首相あいさつと何が違うのでしょうか。1分で読めて役に立つ「サクッとニュース」、今回は「石破首相の平和記念式典あいさつ」を解説します。
Q 石破首相のあいさつはどんな内容だったの?
A 「2年前の9月、広島平和記念資料館を、改装後初めて訪問しました」と話し、「黒焦げになった無辜(むこ)の人々。(中略)熱線により一瞬にして影となった石」「人々の夢や明るい未来が瞬時に容赦なく奪われたことに言葉を失いました」と自分の体験や感じたことを語りました。
Q 過去の首相のあいさつと何が違うの?
A 石破首相は自分が見たことや感じた思いを盛り込んでいる点が特徴です。政治学者で高千穂大教授の五野井郁夫さんは「本人が見た細かな描写も盛り込まれていて、被爆者の問題に心を砕いているという印象を受けた」としています。
Q 過去の首相のあいさつはどんな感じだったの?
A 歴代の首相あいさつは、交流サイト(SNS)や被爆者団体から度々批判されてきました。2020年の安倍晋三首相のあいさつは広島と長崎でほぼ同じ「コピペ」だったことが分かり、話題になりました。21年には菅義偉首相があいさつの一部を読み飛ばしてしまい、後で「原稿がのりでくっついて剥がれなかった」と釈明しました。また、22年には岸田文雄首相も安倍氏と同じように、広島と長崎でほぼ同じ内容のあいさつをしました。
Q 石破首相は「核なき世界」についてはどのように触れたの?
A 「核なき世界」の実現に向けた日本政府の取り組みについては、従来の立場を踏襲しました。五野井さんは「日米の安全保障を重視する外交姿勢から仕方ない面もあるが、踏み込んでもよかったのではないか」と話しています。一方で、五野井さんは「被爆国であることをしっかり見つめた、80年の追悼の辞としてはまともなものだった」としています。
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