大阪・国立文楽劇場の夏休み文楽特別公演は3部制。各部ごとに構成の狙いを絞った。
第1部「親子劇場」は古典「五天竺(ごてんじく)」を復活・改訂した「西遊記」。2023年、24年と上演され、今回が「完結篇」。詞章に現代語が取り入れられた。孫悟空(人形は玉佳)、沙悟浄(紋吉)ら三蔵法師(勘市)一行がひょうたんに乗り流沙(りゅうさ)川を行く旅、スモークを使う変身など視覚的な演出が楽しい。子供を意識した内容だが、まとめて一挙上演すれば、苦難の末に経典を授かる結末「祇園精舎」の喜びが大人にも響くのでは。
第2部は「名作劇場」。「一谷嫩(ふたば)軍記」は平敦盛の身代わりに実子を討つ熊谷直実(玉志)の悲劇。「熊谷陣屋」の直実は剛毅(ごうき)さと、その陰の苦悩を見せた。妻・相模(清十郎)、藤の局(簑一郎)、弥陀六(玉也)らも手堅く、戦の世の無常を浮き彫りにする。床は千歳・富助、藤・燕三と続き重厚。次の「桂川連理柵(れんりのしがらみ)」は親子ほど年の違う長右衛門(玉男)とお半(勘彌)の恋。「帯屋」では賢…
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