大川原冤罪「消極証拠の確認、上司への報告不十分」 最高検検証結果

Date: Category:速報 Views:1 Comment:0

最高検察庁、東京高等検察庁、東京地方検察庁などが入る中央合同庁舎第6号館A棟=本橋和夫撮影 拡大
最高検察庁、東京高等検察庁、東京地方検察庁などが入る中央合同庁舎第6号館A棟=本橋和夫撮影

 化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)を巡る冤罪(えんざい)事件で、最高検は7日、東京高裁から起訴を違法と認定された東京地検の捜査や公判活動に対する検証結果を公表した。警視庁公安部に対する消極証拠の確認が不十分で、検事正や次席検事といった主任検事の上位の決裁官にも消極証拠が報告されないまま起訴に至ったと結論付けた。反省点として、逮捕方針の是非を含めて、捜査方針を慎重に検討するべきだったとした。

 大川原化工機の社長ら3人は2020年3月に逮捕・起訴され、初公判4日前に起訴が取り消された。警視庁公安部は、輸出規制の内容を定めた経済産業省の省令について、独自の解釈を打ち立てて捜査を進め、主任検事は公安部の逮捕容疑のまま起訴していた。

 大川原側が起こした国家賠償訴訟で東京高裁は25年5月、公安部の独自解釈は国際基準から外れ、経産省からも否定的な意見が出ていたと指摘。主任検事が省令解釈の合理性の確認を怠ったことを起訴を違法とする一つの根拠とした。

 最高検は検証結果で、公安部の独自解釈について、国際的な規制との違いについて慎重に検討するため、検察官が自ら経産省に確認するべきだったと指摘した。また、大川原側からは不正輸出したとされた装置の温度実験に疑義が出ていたのに、主任検事が信用性が乏しいと判断したことは問題だったとした。

 東京高裁判決は、公安部の逮捕・取り調べに加え地検の起訴を違法と認定し、東京都と国に計約1億6600万円の賠償を命じた。警視庁と地検は上告を断念して判決を確定させるとともに、検証作業を進めていた。【北村秀徳】

Comments

I want to comment

◎Welcome to participate in the discussion, please express your views and exchange your opinions here.