夏の京都は、風よりも石の上に涼がある。
京阪出町柳駅から地上に出ると、南へ3分ほどのところに「みたらし団子」と書かれた旗がはためいていた。てりてり輝くみたらし団子の下、「食べ歩き一本からどうぞ」の文字に口が勝手に動く。「一本ください」
みたらし団子の影を道路に落としながらさらに歩くと、賀茂大橋にさしかかった。橋の上から鴨川を望む。亀の形をした飛び石に腰かけて、川に足を浸すカップルの笑い声が聞こえてきた。ふたりは、ちょっとだけ自分たちが絵になることを知っている感じ。いいな、と思う。
飛び石にふたり並んでちゃぷちゃぷと「帰れない」とかいえないおとな
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