<文化の森 Bunka no mori>
時間とお金の使い方によりシビアな効率性が求められるようになった時代。作家、上田岳弘さんの最新短編集『関係のないこと』(新潮社)は、新型コロナウイルスの感染拡大以降に変わった現代人の心象を書き留めている。収録された5作はバラエティーに富み、コロナへの直接的な言及は多くはない。ただ、パンデミックと、その後の環境の変化のなかにある読者の今が響き合う。
「パンデミックは去ったんでしょうけど、心理的な傷や変容は残っています。とりあえずの飲み会に顔を出さなくなったとか、無駄なことに時間やお金をかけなくなりました。『関係のないことは無駄』という風潮が強まっているのかもしれません」
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