熊本県山鹿市の夏の夜を彩る「山鹿灯籠(とうろう)まつり」。まつりで披露される「千人灯籠踊り」に魅せられ、山鹿市地域おこし協力隊の隊員となった女性がいる。熊本市出身の高本舞さん(28)は、その魅力について「心を揺さぶる美しさがあります」と語る。【山崎あずさ】
山鹿灯籠踊りは頭に山鹿灯籠を掲げて舞う踊り。和紙製の金灯籠を頭に載せた浴衣姿の約1000人の女性が円をつくり、この踊りを披露するのが千人灯籠踊りで、まつりのハイライトとなる。
高本さんと千人灯籠踊りの出会いは、物心つく前から。毎年参加する母和子さん(60)の影響で、幼少時から静寂と光が織りなす踊りに触れてきた。名前の「舞」は、この踊りにちなみ名付けられたという。高校生の時、市外からの参加者として初めて千人灯籠踊りの輪に加わった。
千人灯籠踊りで中心部に設けられるやぐらには、ピンク色の浴衣をまとった「山鹿灯籠踊り保存会」の女性たちが上がる。高本さんは「保存会の踊りはひときわ目を引き、ずっと憧れでした」と振り返る。高校卒業後は県外の大学に進学。理学療法士として病院で働き出してからも、時間を見つけ、参加した。
2年前、保存会からの誘いを受けて念願だった保存会会員に。今年4月、山鹿市地域おこし協力隊の募集を目にして「灯籠踊りを通して、山鹿の文化や人の温かさを伝えたい」と応募した。8月に隊員として着任したばかり。昨年に続き、今年もやぐらに上がって踊りを舞う。「風情ある灯籠踊りを県外に広く発信していきたい」と意気込んでいる。
幻想的明かり、優雅に舞う
熊本県山鹿市で15、16日、町全体を幻想的な明かりで包む「山鹿灯籠まつり」が開かれる。
まつりは、この地を訪れた景行天皇が濃霧で進路を見失った際、住民がたいまつの火で導いたことが由来とされる。頭に掲げる山鹿灯籠は国の伝統的工芸品に指定されている。
15日夜は、約4000発を打ち上げる納涼花火大会を実施。16日午後8時から山鹿小グラウンドで「千人灯籠踊り」が開かれ、午後10時に各町内の灯籠を大宮神社に奉納する「上がり灯籠」がある。
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