高校野球・夏の甲子園1回戦(9日)
○西日本短大付(福岡)4―3弘前学院聖愛(青森)●
成長した姿を大舞台で惜しみなく披露した。
出番は七回からだった。西日本短大付の左腕・原綾汰(りょうた)はチームが3―3の同点に追いついた直後、先発した主戦右腕の中野琉碧(るい)からマウンドを引き継いだ。
直後の八回にはピンチがやってきた。
二塁打を浴びるなどして2死三塁。失点すれば敗戦が近づく可能性が頭をよぎったが、「走者は気にせずに自分の投球をすれば抑えられる」と切り替えた。
相手の5番、今大雅(こんたいが)を外角低めの直球で右飛に打ち取り、ピンチを脱した。
原にとって甲子園は、悔しさの思い出の方が強い。
昨夏はメンバー外でアルプススタンドで仲間を応援した。今春の選抜の準々決勝では、優勝した横浜(神奈川)を相手にリードした場面から2番手で救援登板したが、打ち込まれて4失点。「敗れた責任は自分の投球内容にあった」と悔やんだ。
そこから練習内容を見直した。
短い距離の走り込みや投球技術を再考。特に大事な場面で球が浮く傾向にあった癖を細かく分析して、低めに投げきる技術の習得に努めた。
夏の福岡大会の準決勝では完投し、西村慎太郎監督は「練習への取り組みや投球は非常に成長を感じる」と目を細める。
この日、味方が1点を勝ち越して迎えた延長十回は、強化してきた内角と低めの投球を駆使して3人できっちり抑えた。計40球で4回無失点。初戦突破に貢献した。
試合後、力強く話した。「甲子園での借りは一つ返しましたが、まだここからです」。進化した左のエースが甲子園で躍動する。【林大樹】
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