戦後80年 各館の試み 記憶の表現、再考 東京国立近代美術館/広島市現代美術館/長崎県美術館

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 戦後80年を迎え、各地の美術館でも戦争を見つめ直す展覧会が開かれている。戦争はいかに表され、現代の美術家は今、何を表現するのか。各館の試みを紹介したい。

 戦後、米国に押収され、1970年に「無期限貸与」という形で日本に返還されたプロパガンダの「作戦記録画」(戦争画)。計153点を保管する東京国立近代美術館では、「コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ」展が開催中だ。タイトルに「戦争」の文字はない。だが、作戦記録画24点(通期)を軸に、戦争と表現を巡る30~70年代の歴史に真正面から向き合った企画だ。

 特徴の一つは、時代の「文脈」を提示していること。戦意高揚のための戦争画は、新聞・ラジオや雑誌、ニュース映画などと共に存在していた。視覚イメージはさまざまなメディアと共に言説を作り上げ、人々はその残響の下で絵を見ていたのだ。同時代資料を多数展示することで、80年以上たった今では見えにくくなった、時代のまなざしを描き出そうとする。

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