全国高校野球選手権大会に出場している広陵(広島)は10日、大会を辞退すると明らかにした。広陵を巡っては、1月に部員による暴力事案があったことが判明し、交流サイト(SNS)で学校の対応や選手への中傷が広がっていた。大会本部は同日、辞退の申し出を了承したと発表。大会本部によると、大会中に不祥事が発覚しての出場辞退は、甲子園大会で春夏通じて史上初となる。第9日(14日)の2回戦で対戦予定だった津田学園(三重)は不戦勝となる。
兵庫県西宮市内で取材に応じた堀正和校長は「皆様に多大な迷惑、ご心配をおかけしましたこと深くおわび申し上げます。誠に申し訳ございません」と頭を下げた。
広陵は5日、複数の野球部員が下級生に暴力を振るったとして、3月に日本高校野球連盟から厳重注意を受けていたと取材に明らかにし、大会本部は6日、「出場判断に変更はない」としていた。だが、この問題を巡り、SNSで真偽不明な情報や中傷が相次いだため、堀校長は「生徒、職員の安全を守るのを最優先ととらえた」と辞退の理由を明らかにした。
大会会長の角田克(つのだかつ)・朝日新聞社社長も10日取材に応じ、「大会期間中にこのような事態となり大変残念だが、学校の判断を受け入れる。暴力やいじめを撲滅していくという姿勢を心に刻み大会運営を行っていく」と話した。
過去には2005年大会で、明徳義塾(高知)が開幕2日前に部員の暴力事案などが発覚し、出場を辞退したことがある。【西山夏奈、高橋広之】
Comments