一時は「祖国の英雄」も展示縮小 保守とリベラル、政治に揺らぐ語り口

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第二次世界大戦博物館に展示されたコルベ神父の肖像画。飢えた人に食料を与えている。神父を知るアウシュビッツ強制収容所の元囚人が描いた=ポーランド北部グダニスクで2025年7月15日、宮川裕章撮影
第二次世界大戦博物館に展示されたコルベ神父の肖像画。飢えた人に食料を与えている。神父を知るアウシュビッツ強制収容所の元囚人が描いた=ポーランド北部グダニスクで2025年7月15日、宮川裕章撮影

 世界は第二次世界大戦をどう総括しているのか。政治や社会、歴史認識が複雑に絡み合う各国の戦争博物館の現場から報告し、戦後80年を迎える日本でも考えたい。

コルベ神父の展示縮小

 ポーランド北部グダニスクの第二次世界大戦博物館。館内の展示室の一角に、長崎でも宣教活動をしたマキシミリアノ・コルベ神父(1894~1941年)の肖像画が展示されている。

 神父は第二次大戦中、アウシュビッツ強制収容所でポーランド人の囚人の身代わりになって餓死刑に服したことで世界に知られる。ローマ教皇庁は82年に神父を聖人に認定。神父はポーランド人の誇りとなった。

 だが、コルベ神父の展示方法をめぐり、保守、リベラルの歴史学者の間で見解は分かれている。神父が生前に運営していた出版社が発行した雑誌に反ユダヤ主義的な差別を示す文言が見つかったからだ。

 中道政党のリベラル派であるトゥスク首相の肝いりで2017年に創設されたこの国立博物館は、政権交代のたびに館長が解任され、展示内容が変…

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