米ホワイトハウスは12日、首都ワシントンを中心とするスミソニアン博物館群の展示内容を巡って、広範な「内部審査」に乗り出すことを明らかにした。
来年の建国250周年に先立って、トランプ大統領が提唱する「米国史の真実と健全性の回復」を反映させるためだという。「米国例外主義を祝福するという大統領の指示に沿い、分断的で党派的な叙述を排除する」とも説明している。
ホワイトハウスが12日に博物館群を運営するスミソニアン協会に送付した書簡によると、この審査は、米国歴史博物館▽自然史博物館▽国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館▽国立航空宇宙博物館▽アメリカ美術館――など8施設を対象に実施する。
オンラインを含むコンテンツ全般、キュレーション(展示品の取捨選択と展示構成)の過程、現在と今後の展示計画、収蔵品の使用方法などを詳細に調べるという。120日以内に展示内容を「是正」させ、順調にいけば来年の早い時期に審査を終えるとしている。
ホワイトハウスは「キュレーターやスタッフへの干渉ではなく、正確で包摂的な米国の歴史を描くための支援だ」と主張する。
だが、米紙ワシントン・ポストは「トランプ氏による政治的干渉が、歴史的に非党派的と考えられてきたスミソニアン協会への懸念を生じさせている」と指摘している。
トランプ氏は3月、協会が分断的で人種中心的なイデオロギーの影響下にあるとして「不適切なイデオロギー」を排除するよう命じる大統領令に署名した。
7月には、米国歴史博物館でトランプ氏の2度の弾劾を扱った展示が撤去されて批判が起こり、記述の一部を改めた上で8月8日に再び展示されるという騒動があった。【ワシントン金寿英】
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