次々と起こるアクシデントを乗り越えての勝利だった。
全国高校野球選手権大会は第8日の13日、阪神甲子園球場で2回戦があり、関東一(東東京)が中越(新潟)を6―1で破った。
関東一は試合終盤、複数の選手が相次いで脚などを痛め、途中交代する選手も出た。いずれも試合前は体調に問題はなく、暑さの影響とみられる。
手当てに中断2回、計10分
3―1で迎えた六回裏。先頭で打席に立った関東一の主将・越後駿祐選手(3年)は内野ゴロを打った。一塁に走り出した直後、両脚の太ももがつった。
七回表、いったんは遊撃の守備に向かった。水分を取り、屈伸するなどして動きを確かめた。ただ、違和感は拭えず、この回が始まるタイミングで交代した。
その後も、関東一はアクシデントが続いた。
七回裏の攻撃では、先頭で四球を選んだ藤江馳門(たもん)選手(3年)が一塁に走り出した直後、両脚を痛めて交代した。
無死二、三塁となり、大沢歩夢選手(3年)の内野ゴロの間に4点目を加えたが、その大沢選手も一塁に向かう際に脚がつった。
さらに、先発の坂本慎太郎選手(3年)が八回を投げ終えた後に脇腹を痛めたという。
手当てにより、試合は2回、計10分間の中断があった。
チームによると、試合前や最中はこまめな水分補給に加え、熱中症対策としてサプリメントや塩分の錠剤を摂取していた。
試合前日までは雨や曇りが続き、気温が比較的低かった。ただ、13日は晴天で暑さが戻っていた。
ほとんど脚をつったことがないという越後選手は「蒸し暑くて、いつもより汗が出ると感じていた。(アクシデントの理由に)気温差はあると思う」。
また、関東一の初戦は5日の大会開幕から8日後と日にちが空いた。「(宿舎など)涼しい部屋に長くいたのも影響したかもしれない。(試合までの期間が)長い分、暑さ対策もおろそかになっていたのかな」と話す。
藤江選手も「東京よりも(甲子園は)日差しが強いし、蒸し暑さもある。水は結構飲んでいたが、(栄養を含む)固形物を事前にとっておいた方が良かったかも……」と振り返った。
アクシデントの背景として、米沢貴光監督は「緊張感もあったと思う」と語る。大沢選手は大会本部を通じて「ご飯はしっかり食べたけど、緊張もあった。思うように体が動かなかった」とコメントした。
次戦に向けて、越後選手は「長い中断があって相手チームに申し訳ないことをした。体調面はしっかり治して、しっかり準備したい」と気を引き締めた。【深野麟之介、吉川雄飛、円谷美晶】
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