高校野球・夏の甲子園2回戦(13日)
○京都国際6―3健大高崎(群馬)●
京都国際の小牧憲継監督は3日に組み合わせが決まり、ひそかに思っていたという。
「正直、勝ち目はないのかな」
全国屈指の陣容を誇る健大高崎の投手陣を打ち崩せるのか。だが、選手たちの成長のスピードは監督の想像を上回るものだった。
2―3と逆転を許した直後の三回2死一塁。5番・山口桜太は相手の先発左腕・下重賢慎の真っすぐに照準を合わせていた。
狙い通り、膝元の直球をコンパクトなスイングで引っ張った。目の覚めるようなライナーで右翼線に運ぶ同点の適時二塁打だ。
6番・猪股琉冴も中前適時打で続き、逆転。沈んだチームに勇気を与える2点だった。
終わってみれば4投手から計10安打。「思う球は投げられたが、相手が上手だった」と下重は脱帽した。
京都国際は昨年の春夏優勝校による注目対決に向け、直球対策を入念に施していた。健大高崎は5人が最速140キロ以上。下重はその一角で球の出所が見にくく、球速表示以上の速さを感じさせる。
そこで、練習では通常より4メートルほど前から打撃投手に全力で投げてもらったり、打撃マシンの速球を打席で見送ったりして、目を慣らした。
選手たちは、最初はファウルが真横に飛んだり、空振りしたりしていたが、だんだんとタイミングが合ってきた。山口も「フルスイングすると力が入りすぎる。バットを落とすぐらいの意識で振るといい」と手応えをつかんでいた。
昨夏に全国優勝を果たし、始動の遅れた現チーム。昨秋、今春とも京都大会で上位に進めなかったが、ようやく「成長期」がやってきた。小牧監督は「夏の京都大会で成長し、この初戦でまたうまくなっている。伸び率がすごい」と舌を巻く。
「男子三日会わざれば……」というが、球児も一日で見違える。この夏も京都国際から目が離せない。【石川裕士】
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