「連係プレー」で人命救助に貢献した選手たちが、阪神甲子園球場でも懸命に白球を追った。
全国高校野球選手権大会で16日の第2試合、3回戦に登場した岡山学芸館の選手たちだ。
3月に実施した沖縄県での合宿中、突然倒れた高齢女性に心肺蘇生を施し、119番で駆け付けた救急隊員にバトンタッチしていた。
那覇市消防局から感謝状が贈られたのは、いずれも3年生の吉井翔悟、又吉涼太郎、阿慶田(あげだ)庵俐(いおり)、前田蓮斗、樽家巧真の5選手。
樽家選手らによると、3月中旬に4泊5日の日程で行った沖縄合宿の最終日、自由時間に那覇市の「国際通り」で昼食をとった5人が店を出た直後、目の前にいた高齢女性が突然あおむけに倒れるのを目撃した。
阿慶田選手が119番通報。又吉、前田両選手が心臓マッサージなどを施し、吉井、樽家両選手が自動体外式除細動器(AED)を探しに近くのコンビニへ急行した。
10分ほどで駆け付けた救急隊員が、2選手が持って来たAEDを使って心肺蘇生すると、女性は意識を取り戻した様子だった。翌日、5人は野球部のスタッフから「女性は無事だった」と聞き、ほっとしたという。
今大会は樽家選手を除く4人がベンチ入りし、16日の山梨学院戦では、吉井投手が先発マウンドに上がり、又吉選手は「3番・二塁」、阿慶田選手は「8番・中堅」で先発出場した。
アルプス席から声援を送った樽家選手は「練習など普段から一緒に過ごしている時間が長いので、誰かが指示するわけでなく、全員がとっさに動いた。女性が無事だったと聞いて、本当に安心した」と話した。
吉井投手の母佳代子さんは「本人からは『みんながいたからできた』と聞いた。すぐに対応した息子を誇りに思う」と語った。【黒詰拓也】
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