○阪神3―0巨人●(16日・東京ドーム)
背番号「3」を付ける重圧に、のみ込まれているようだった。
「ミスタープロ野球」と呼ばれた長嶋茂雄さんの追悼試合として行われた特別な一戦で、巨人が零封負け。天国の長嶋さんに、最後まで快音が届けられることはなかった。
九回裏、わずか9球で巨人の打者3人が倒れた。あまりにも淡泊な幕切れに、超満員の東京ドームを重苦しいため息が包みこんだ。
なんとしてでも白星をつかまなければいけない一戦を前に、阿部慎之助監督も勝負に出た。5月から左肘の負傷で離脱していた岡本和真を緊急昇格させ、長嶋さんがかつて担った「4番・三塁」に据えた。
「3」のユニホームで右打席に立つスラッガーに対し、ファンも長嶋さんを重ねるように歓声を送った。
だが第1打席では走者を置きながら凡退し、結果3打席でノーヒット。岡本は「特別な試合で、僕としても(復帰の)一発目の試合だった。勝てたら良かった」と言葉少なだった。
ただでさえ得点力不足に悩む打線のうえに、切り札の岡本も不発。結局、阪神の村上頌樹の前に2安打完封を喫した。
白星を届けられず、阿部監督も「重圧に負けちゃったかな。(長嶋さんも)多分めちゃくちゃ怒っているんじゃないか」。華々しいセレモニーに影を落とす、あまりにも痛い敗戦だった。【牧野大輔】
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