イスラエル軍は16日、パレスチナ自治区ガザ地区の住民向けに、17日から避難生活用のテントなどの搬入を始めると発表した。イスラエル政府は今月8日、ガザ市の制圧計画を承認しており、戦闘本格化に先立つ住民の強制移住の準備の動きとみられる。
ガザ市制圧計画は、10月上旬までにガザ市に住む住民を南方に移動させた上で、地上侵攻を強化するとされている。ガザ市はガザ地区の最大都市で、現在約100万人が暮らしている。
イスラエル軍によると、テントなどは、国連や支援団体が、イスラエルとガザの境界にあるケレムシャローム検問所を通じて搬入する。搬入物はイスラエル側が事前に検査するという。軍は「戦闘地域から住民を保護するため南部に移住させるための一環だ」と主張しているが、強制移住が実施されれば更なる混乱により、人道危機が深刻化するのは必至だ。
ガザ市南東部では15日から軍の空爆や砲撃が激しくなっており、イスラエル軍は新たに2旅団がガザ市で活動を開始したと発表した。パレスチナメディアによると、ガザ市の一部では既に住民に避難を求めるビラがまかれているという。
イスラエルは、ガザ市制圧などで、人質を拘束するイスラム組織ハマスに圧力をかける狙いがある。ネタニヤフ首相はハマスの武装解除、人質全員の解放などを戦闘終結の条件に掲げているが、ハマスが武装解除に応じる可能性は低く、停戦交渉の行方は見通せない。【エルサレム松岡大地】
Comments