
第84期名人戦A級順位戦の開幕局2局のうち▲増田康宏八段―△佐藤天彦九段戦は、前期で最終局まで挑戦権争いを演じた両者の対戦となり、佐藤九段は前期、挑戦権争いの原動力になった振り飛車で始動した。対する増田八段は馬を自陣に引き付けた上に玉が深く自陣に潜る鉄壁の守りで攻めをかわし、快勝した。加藤まどかさんが観戦記で、両者の「再出発の一局」と位置づけた対局を追った。
第1譜(1―24)
▲2六歩 △3四歩1 ▲7六歩 △4四歩
▲4八銀 △9四歩 ▲9六歩 △4二飛1
▲6八玉 △3二銀 ▲7八玉1 △4三銀1
▲5八金右 △7二銀 ▲5六歩1 △6二玉
▲2五歩 △3三角 ▲5七銀 △6四歩
▲3六歩 △7一玉7 ▲7七角1 △7四歩3(第1図)
(持ち時間各6時間 消費▲3分△13分)
第84期A級順位戦開幕
昨日まで本欄でご覧いただいた通り、第83期名人戦は藤井聡太名人が永瀬拓矢九段の挑戦を4勝1敗で退け、名人位3連覇を果たした。その3週間後の6月20日、東京・将棋会館。本局の佐藤天彦九段―増田康宏八段戦と永瀬―中村太地八段戦の2局で第84期A級順位戦が幕を開けた。
佐藤は前期A級リーグで終盤までトップを走っていたが、最終戦で佐々木勇気八段に敗北。続く永瀬とのプレーオフに敗れて挑戦できず。増田も最終局で勝てばプレーオフ進出だったが、永瀬に敗れ挑戦の目が無くなった。
挑戦者に痛い目に遭った両者の再出発となる一局は、対抗形の戦いに。後手の佐藤が角道を止めるノーマル四間飛車で、美濃囲いに構える。…
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