
自宅から持ってきた「タンス預金」を銀行の窓口で入金しようとしたら断られた--。老人ホームの一時金といったまとまったお金を扱う際、こうした事態に直面する高齢者が出てきている。銀行が大口の現金の預け入れを断るのはなぜなのか。私たちが注意すべき点と併せて識者らに聞いた。
「入金できません」
都内在住のAさん(69歳男性)は今年に入り、90歳の母が入居する老人ホームの一時金を支払うため、自宅にあった「タンス預金」約2000万円を抱えて近所の銀行支店を訪れた。
窓口を介して施設に振り込もうとしたら、行員から返ってきた言葉に驚いた。「大口の現金を持ってきても入金はできません」。理由は詳しくは分からなかったが、断られるとは思ってもみなかった。
Aさんは代替手段として、現金自動受払機(ATM)で入金することを考えた。しかし、紙幣での一日の入金は200万円までと制限されていた。自身も高齢者であるAさんにとっては、10日に分けてATMまで運んで入金することの負担は大きいと感じた。
結局、別の銀行に開設している母の口座にまとまったお金があり、そこから施設へ一時金を送金することになった。
父の代から続く自営業のAさん。タンス預金は、これまで一生懸命働いて自宅で現金をコツコツとためてきたものだ。なぜ銀行の窓口で入金を断られたのか。その理由が気になって気分が落ち込んで、よく眠れない日がある。Aさんの自宅には銀行に入金できなかった現金がそのまま残っている。「この先、この現金は使えるのだろうか」と途方に暮れている。
大手行の説明は
Aさんのようなケースで、なぜ銀行は窓口で大口の入金を拒むのだろうか。
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