画家の故丸木位里・俊夫妻が被爆の惨状を描いた連作絵画「原爆の図」の模写に、広島市立大で日本画を研究している非常勤講師、古賀くららさん(42)が取り組んでいる。世界的に著名な作品だが、使われた紙や画材、技法に関する資料は乏しく作業は手探りだ。ただの複製でなく、夫妻のまなざしも再現したい――。惨禍を後世に伝える力になると信じている。
細い木炭の棒で描いた人間の輪郭を、指でこすっては、ぼやけた線を再び木炭でなぞっていく。古賀さんは7月中旬、原爆の図第1部「幽霊」の原画コピーをそばに置き、緊張した面持ちで描写を続けた。焼けただれた皮膚を引きずり、さまよう人々を描いた作品だ。
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