
人工知能(AI)で、故人を生前の映像や音声を基に「再現」することができるようになった。
こうした「AI故人」のサービスが国内外で相次いでいるが、どう向き合うべきか。技術的にはどこまで再現可能なのか。
AI研究の第一人者として知られる京都橘大の松原仁教授に聞いた。【聞き手・岡田英】
生前の動画や音声をAIが学習し、デジタル空間で故人を「再現」する――。「AI故人」はどこまで受け入れられるのか。どんなリスクがあり、どう向き合うべきか。3回連載で専門家の意見を紹介します。
上:亡くなったおじいちゃんが動き出す? 再現可能性は 松原仁・京都橘大教授
中:「都合のいい死者」作り上げる装置になる恐れも 中島岳志・東京科学大教授
下:故人の同意なし「再現」 生前の尊厳傷つけるリスク 吉永京子・慶応大大学院特任准教授
生成AIの登場で、本人の音声や映像、文章などを大量に学習させ、その人に成り代わってしゃべったり、書いたりすることが簡単にできるようになった。
生きている人だけでなく、故人についても生前のデータがあれば、生きていたら言いそうなことを本人のような口調でAIに語らせることができる。
AI故人によって救われる人もいるだろう。近しい人を亡くした遺族が、少しでも喪失感を軽減できるなら、それは良い利用の形だと思う。
もちろん、故人を100%模倣できるわけではない。再現に限界はある。それでも本人により近づける方向で技術は進展するだろう。現在はスマートフォンやパソコンの中での再現だ。しかし、将来は人間にそっくりな動きをするアンドロイドで再現できるかもしれない。
例えば、亡くなったおじいちゃんに…
Comments