瀬戸内舞台に男女3人描く 映画「やがて海になる」広島で先行上映

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「やがて海になる」の一場面=©ABILITY 拡大
「やがて海になる」の一場面=©ABILITY

 広島県江田島市出身の沖正人監督(50)が郷里の海を舞台に撮った映画「やがて海になる」が、8月29日から広島県内で先行上映される。美しい瀬戸内の風景をバックに、人生の半ばに差し掛かった男女の思いが交錯するドラマ。沖監督は「テーマは『故郷』。誰にとっても大切な場所を思い返すきっかけになってほしい」と語る。

 主役は3人の男女で、島から出ることなく生きてきた男性(三浦貴大さん)と、映画監督で島での撮影のため戻ってきた親友(武田航平さん)、親友の元彼女で呉のスナックで働きながら島と行き来する女性(咲妃みゆさん)。それぞれが人生に迷い、見えている故郷の風景も三者三様。青春時代の回想シーンを織り交ぜながら、物語は展開する。

 陽光に輝く青い海と白い砂浜、緑の山。朝に夕に表情を変える島の景色を丁寧に撮った映像も見どころだ。

沖正人監督(右)と出演した川口真奈さん=広島市中区で2025年7月9日午前11時19分、宇城昇撮影 拡大
沖正人監督(右)と出演した川口真奈さん=広島市中区で2025年7月9日午前11時19分、宇城昇撮影

 沖監督は高校卒業まで江田島市で暮らし、俳優やプロデューサーを経て映画監督に。広島で撮影した作品は今回が初めて。「広島を舞台にした映画は原爆や戦争、ヤクザなど強いテーマが多い。自分が撮るならリアルな日常を描き、広島の人が納得できるものにしたかった」と語る。

 撮影には地元の人が大勢協力した。照れくささもあったが、「久しぶりに会った人が昨日別れたばかりのような感じで接してくれ、ありがたかった」と振り返る。

 映画監督である自身を投影した作品で、撮影を通して「故郷」と改めてつながり、「ここが始まりの場所だった」と感じることができた。

 咲妃さんが演じた女性の高校生時代の役は、広島県出身の川口真奈さん(18)が務めた。今は東京が活動拠点だが「広島はいつでも帰れる安心感のある場所」と言う。波打ち際を駆ける若者のみずみずしさが、映像の美しさを引き立てる。「どこを見ても視界に海が入る場所で、時間もゆっくりと流れているようでした」

舞台あいさつに訪れた沖正人監督(中央)と川口真奈さん(右)=広島市中区で2025年7月8日午後7時31分、宇城昇撮影 拡大
舞台あいさつに訪れた沖正人監督(中央)と川口真奈さん(右)=広島市中区で2025年7月8日午後7時31分、宇城昇撮影

 沖監督は「派手な映画ではありませんが、故郷という普遍性のあるテーマ。見終わると肩が軽くなる……。幸福感を持って帰ってもらいたいです」とアピールした。

 広島市中区の八丁座で8月29日から、呉市の呉ポポロで9月5日から。10月24日から全国で公開予定。【宇城昇】

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