(1)池澤夏樹著、尾崎真理子聞き手・文『一九四五年に生まれて 池澤夏樹 語る自伝』(岩波書店)
(2)小松理虔『小名浜ピープルズ』(里山社)
(3)瀬戸夏子『をとめよ素晴らしき人生を得よ 女人短歌のレジスタンス』(柏書房)
歴史と交わる人生の時間
一九四五年生まれの作家が語る私的な人生の時間と戦後八十年という公的な時間が、静かに向かい合っているような(1)は、現代を司(つかさど)る政治や宗教の問題を創作によって俯瞰(ふかん)し、歴史や自然など大きな見地で人間の活動をとらえながら、個人としても書き手としても、統制されることなく自由であることを前提に、数々の作品をおくりだしてきたこの作家によ…
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