原発輸出構想が再浮上 次世代炉「SMR」を東南アジアへ、日米連合

Date: Category:経済 Views:3 Comment:0

石破茂首相の特使としてインドネシアのプラボウォ大統領(中央)と現地で会談した岸田文雄前首相(右から2人目)=2025年5月4日、インドネシア大統領府のホームページより
石破茂首相の特使としてインドネシアのプラボウォ大統領(中央)と現地で会談した岸田文雄前首相(右から2人目)=2025年5月4日、インドネシア大統領府のホームページより

 政府・自民党内で原発輸出構想が再浮上していることが分かった。

 東南アジアの一部の国から原発導入に向けた協力の打診があり、応否を検討している。日米企業が手がける小型モジュール炉(SMR)と呼ばれる次世代原発が念頭にある模様だ。日本の原発輸出計画はかつて頓挫しており、仮に再開すれば原子力政策の大きな転換点となる。

 関連記事
 「日米に勝機」 原発輸出再開へ気勢上げる政と官 企業には慎重論も
 新設は中国、輸出はロシア 世界は“原発ラッシュ”で覇権争い鮮明

 日本、オーストラリアと東南アジア諸国の計11カ国でつくる脱炭素の連携枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」を推進する自民党議員連盟の関係者が明らかにした。インドネシアとマレーシア政府から5月に水面下で打診があったという。

 インドネシアは3月、2060年までに電力の15%程度を原発で賄うとする国家計画を決定した。マレーシアも原発を新たな国家計画に盛り込む方針を示している。

 日本政府は00年代半ば以降、原発輸出を後押ししていたが、11年の東京電力福島第1原発事故後に世界的に安全対策が強化され建設費が上昇。売り込み先だったベトナムやリトアニアが計画を相次ぎ撤回・凍結したほか、東芝は米国、三菱重工業はトルコ、日立製作所は英国で進めていた案件がいずれも暗礁に乗り上げ、20年までに計画を断念していた。

 一方、SMRは構造が簡素で事故リスクが低く、工期も短縮できるとされる次世代型の原子炉だ。日立が米ゼネラル・エレクトリック(GE)と合弁で手がけており、30年末までの運転開始を目指し、5月にカナダのオンタリオ州で着工した。日米連合による輸出を通じ、東南アジア地域で影響力を増す中国やロシアに対抗する狙いもあるとみられる。【中島昭浩】

Comments

I want to comment

◎Welcome to participate in the discussion, please express your views and exchange your opinions here.