
「玉木首相」か、「小泉首相」か――。参院選での与党大敗を受け、経済界は退陣が避けられない情勢となった石破茂首相の「次」を見据えている。経団連を筆頭に与党・自民党との蜜月を長年続けてきたが、その構図に変化が起きつつある。
「自公ではもたない」
「多党政治という体制に大きく変わってきたのではないか。政府を中心に、必要な政党には積極的に働きかけていかなければならない」
長野県軽井沢町で24日に始まった経団連夏季フォーラム開会式で、議長を務める小路明善副会長(アサヒグループホールディングス会長)はこう呼びかけた。出席した財界人は「経団連も“自民党一辺倒”から変わらないといけない、ということだ」と解説した。
「『玉木首相』もあり得る」。20日投開票された参院選後、そんな声がにわかに財界のあちこちで聞かれ始めた。石破氏が退陣し、次の首相は国民民主党の玉木雄一郎代表になるとの見立てだ。
衆院に続き参院でも与党過半数割れとなり、企業の間では「自公政権ではもたない。野党との連立は不可避だろう」(財界幹部)との見方が強まっている。
国民民主党と経団連、親和性も
衆院選に敗れ、法案や予算を成立させにくい「少数与党」となって約9カ月。経団連や経済同友会は、財政再建や社会保障改革を政府に求めてきた。ただ何事も野党の顔色をうかがって進めなければならない石破政権が相手とあって、議論は停滞気味だ。
玉木氏も所得税がかかり始める「年収103万円の壁」を巡る議論で与党を揺さぶってきた一人だが、自公両党が選挙戦で苦戦するなか、「手取りを増やす」というキャッチフレーズで参院選でも議席を大幅に増やした。
自動車や電機、電力など大企業の労働組合から支援を受ける国民民主党は、経団連と親和性があるともいえる。
仮に国民民主党と連立を組んだらどうなるか。…
Comments