
京浜急行電鉄ではめずらしい黄色の車体。背中には広い荷台がついています。「デト11・12」は、電車の部品など事業用品を運ぶための「電動貨車」です。

車両の定期検査などをする横浜市内の「検車区」2カ所と、神奈川県横須賀市の久里浜工場との間を結び、非公表のスケジュールで運行されています。
トラックではなく、環境負荷の小さい鉄道で運ぶのは「ある意味『小さなモーダルシフト』になっているのかなと思います」と、同社広報担当の遠藤勉さん(50)。

登場したのは1988年です。デト11は旧1000形の「1096」、デト12は「1095」を基にして作られました。
荷物室の中はガランとしていて、両側には青い座席がついています。「その昔は(保線作業のため)砕石を運んでいたこともあるんです。それで(荷物室に)人が乗ることもあって、椅子が残ってるんですよ」
遠藤さんも、当時車掌として乗務したことがあるといいます。「砕石を運ぶのは夜中ですからね。(終電後の)真っ暗なホームを電車で通るのは不思議な感覚でした」。現在、砕石の運搬は専用の車両が担っており、デト11・12は昼間の物品輸送に専念しています。電車のモーターなど大きな部品から清掃用具や書類まで、さまざまなものを運ぶそうです。

2010年には、台車や主制御器を1500形で使われていたものに更新。ツーハンドルだった運転台も800形や2000形で用いられるワンハンドルの運転台に変えられました。
主に万が一の事故等に備える救援車の役割を担う2編成の別の電動貨車とともに、輸送の安全を今日も第一線で支えています。【渡部直樹】

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