奈良県立大(奈良市)は星の光を邪魔しないLED防犯灯を東大阪市の金属加工会社、浜田プレス工芸と共同開発した。上に漏れる光をゼロにした他、空気中で散乱しやすい青い光をカット。鹿児島県の与論島で行った試験導入で効果が確認された。「きらきら君」と命名。白色電球のような優しい光で、景観にもプラスになりそうだ。
同社は、光がギラつかない景観配慮型のLED防犯灯「てるてる君」を商品化。京都市などで約3万本が導入された。県立大の尾久土正己学長(天文学)が昨年6月に工場見学した際に「これは星に使える」と着想。共同開発が始まった。光源をケースが包み込むようにして上方への光漏れを防いだ他、青い光が少ないLED管を使った。
尾久土学長は星空観光も研究しており、与論島の星空観光をプロデュース。こうした縁から、島内で使われている621本の防犯灯のうち地権者の同意がとれた95本をきらきら君に交換して今年1月19日から4月30日まで点灯させて効果を確かめた。夜空の明るさに不連続な違いが観測され、雲の多寡にかかわらず暗くなった。尾久土学長は「見える星は確実に増えた。ちょっと天気が悪い日でもよく見えるようになった」と話している。
日本では白い光が主流だが、欧米では電球色が好まれる。尾久土学長は「日本は白い光が過剰。持続可能な観光という観点から光を減らすのが世界の観光の潮流になっている。きらきら君が普及して星がきれいに見えるだけでなく夜の景観も改善されればと思う」と期待を寄せている。【大川泰弘】
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