神奈川県湯河原町が6日、広島の原爆投下時刻に合わせたサイレンを流し忘れていたことが、同町への取材で判明した。町は詳しい原因を調べ、再発防止に努めるとしている。
町地域政策課によると、町では毎年、広島の原爆投下時刻(8月6日午前8時15分)に合わせ、1分間のサイレンを町内放送のスピーカーから流して町民に黙とうを促してきた。また、同7時半にはサイレンが流れることを伝える事前のアナウンスもしてきた。しかし、今年は担当者が放送するための機械の設定を忘れたという。
同課は「過去に同じようなミスはなかったと思う。このようなことが二度とないように、原因究明や再発防止策を取っていきたい」としている。
同町に20年以上住む男性(75)は、毎年8月6日はサイレンを聞いて黙とうをささげてきたという。「戦後80年の大事な年に忘れるなんて。原爆で亡くなった人に失礼、無礼ではないかと思う」と憤った。戦争の記憶が薄れる世相を反映しているように思えるといい、「世の中全体の雰囲気が少しずつ変わっているのかなと、今回のようなことでも感じてしまう」と話した。【矢野大輝】
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