余命数カ月での参院選 残したかった18歳息子の「生きた証し」

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病院の窓から外の景色を眺める息子。自力歩行が難しく、移動には車いすを使う=女性提供
病院の窓から外の景色を眺める息子。自力歩行が難しく、移動には車いすを使う=女性提供

 7月に行われた参院選。息子にとって、選挙権を得て初めての選挙だった。同時にそれは、息子が投票できる最初で最後のチャンスになるかもしれない、大切な選挙だった。だが――。【酒井志帆】

病室で迎えた初めての選挙

 「病室からでも投票できるんだって。やってみようか?」

 参院選が公示された直後、愛知県の女性(53)は、病院から配布された不在者投票の案内を手に、ベッドに横たわる息子(18)にそう問いかけた。

 息子は脳腫瘍を患い、半年ほど前から県内の大学病院に入院している。自力で歩くことはできず、普段はベッドの上で過ごし、移動には車いすを使う。

 体調によっては意識が混濁し、受け答えがままならないこともある。でもこの日、息子は母の問いにこう答えた。

 「うん、投票してみる」

 参院選が始まる約1カ月前、女性は息子の主治医から「余命数カ月」と宣告されていた。

 息子には伏せているが、死を意識して過ごす日々だからこそ、できるだけ多くの「生きた証し」を残してあげたい。そう願う女性にとって、息子の言葉がうれしかった。

かなわなかった息子の投票

 7月中旬のある日、病院内で不在者投票が行われた。息子のように院内に設けられた投票所まで行けない患者については、看護師らが病室を回り、ベッドの上で投票する。

 しかし、あいにく息子はこの日、…

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