千葉県成田市の公園の地下に、かつて「御文庫(おぶんこ)」と呼ばれた皇室の防空壕(ごう)が残っています。1941年12月8日、太平洋戦争開戦の日に完成したもので、当時皇太子だった上皇さまのために造られました。1分で読めて役に立つ「サクッとニュース」、今回は「成田市の皇室防空壕」を解説します。
Q 成田市の公園に防空壕があるって聞いたよ。防空壕ってなんだっけ。
A 防空壕は、戦争中に空襲などから身を守るために地下に造られた避難場所のことです。成田市の「三里塚記念公園」の地下5・2メートルには、皇室のために造られた防空壕があります。
Q どれくらいの広さがあるの?
A 防空壕の広さは全部で約69平方メートルあり、主室の両脇には約2・6平方メートルの小部屋もあります。
Q どんな作りになっているのかな。
A 鉄筋コンクリートでできていて、分厚い鉄製の扉で部屋が仕切られています。爆風から守るための工夫もされています。80年以上たった今も劣化がほとんどありません
Q 中はどんな様子?
A 主室は約11平方メートルでとても静かです。空港の近くなのに飛行機の音も聞こえません。天井には照明があり、コンセントや電話回線の差し込み口もあります。
Q 建設はどんなふうに行われたの?
A 建設は秘密に進められ、工事の記録には「クギ1本露出させてはならなかった」「1カ月ぐらいの施工期間中、地下足袋を脱いで寝るひまもなかった」と苦労が書かれています。
Q 上皇さまは実際に使ったの?
A 上皇さまは別の場所に疎開したため、この防空壕が使われることはありませんでした。
Q 今はどうなっているの?
A 防空壕は長い間閉鎖されていましたが、市が2011年から一般公開しています。2024年には国の登録有形文化財にもなりました。
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