「強打の日大三」呼び起こすリードオフマンの足 夏の甲子園

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【高川学園-日大三】一回裏日大三無死、松永が二塁打を放ち、守備の乱れの間に三塁へ=阪神甲子園球場で2025年8月16日、長澤凜太郎撮影 拡大
【高川学園-日大三】一回裏日大三無死、松永が二塁打を放ち、守備の乱れの間に三塁へ=阪神甲子園球場で2025年8月16日、長澤凜太郎撮影

高校野球・夏の甲子園3回戦(16日)

○日大三(西東京)9―4高川学園(山口)●

 15安打、9得点と伝統の「強打」を存分に発揮した日大三だが、その呼び水は、リードオフマンの冷静な判断と走塁だった。

 一回表、先発の近藤優樹が3安打を浴びた。1点を先制され、焦ってもおかしくない展開だが、1番・松永海斗の思考は違った。

 「1点取られて、追いかけるだけ。逆に気持ちが楽になった」

 右翼手の守備位置が中堅寄りと確認し、1球目、外角の直球を強振して流し打つ。狙い通り右翼線側に打球を落とした。

 打てば終わり、ではない。二塁を回り、高川学園の中継プレーが乱れた瞬間を見逃さず、俊足を生かして一気に三塁を陥れた。

 そのチャンスは一度はつぶれかけた。

 1死後、3番・本間律輝が放った投ゴロで松永は思わず飛び出し、挟殺プレーになった。

 絶体絶命の場面に変わったが、ここも冷静だった。

 本塁側から追いかけてきた相手投手、三塁ベースカバーに戻る三塁手の動きが遅れていると視界に捉え、「間に合う」。思い切って帰塁した。

 三木有造監督が「ああいう身のこなしは得意」と評する動きでタッチをかいくぐった。

 挟殺プレーで生き残るすべは、日々の練習で取り組みながら考えてきた。慌てず、諦めず。好機をつなぎ留めると、4番・田中諒の内野ゴロで同点のホームを踏んだ。

 さらに3本の適時長短打が生まれて一挙5得点。一気にたたみかける破壊力が、今年の日大三にはある。

 「こんなに大勢の人に見てもらうのは初めて。歓声が力になる」。試合を重ねるごとに勢い付く攻撃の先頭に、熱い心と冷静な頭で大舞台を楽しむ松永が立っている。【川村咲平】

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