高校野球・夏の甲子園3回戦(17日)
○横浜(神奈川)5―0津田学園(三重)●
今大会2度目の完封劇を見せた横浜の先発・織田翔希が奪ったアウトのうち、内野ゴロの数は実に15。織田が主演なら、内野陣は名脇役だ。
ハイライトは3点リードの七回。1死一、二塁から相手の6番・桑山晄太朗が放った二遊間の当たりに、二塁手の奥村凌大(りょうた)は「打球が来ると思っていた」と、素早く反応して飛びついた。
ボールが手につかず内野安打となったが、抜ければ1点という場面が1死満塁に。このプレーを津田学園の佐川竜朗監督は「横浜高校さんの本当の強さ」とうなった。直後の打者は遊ゴロ併殺とし、相手の反撃の芽を摘み取った。
横浜の内野陣は打球を予測した素早い動きを大切にしている。奥村が特に意識しているのは「試合の中」。桑山は第1打席で二ゴロを放っており、自身の近くに再び打球が来ることをイメージしていた。
「本当は一つ(アウトを)取りたかった」と奥村は悔しさを隠さなかったが、「結果的にあれでホームに還られずに済んだのは良かった」と涼しい顔で語った。
窮地を乗り切り8日の敦賀気比(福井)戦に続いて完封した織田は、食あたりで15日から体調を崩していたというが、「打たせて取ることを意識すれば今日のように球数も減るし、野手の皆さんのおかげで投げ切れた」と感謝しきりだった。
奥村は「素晴らしい投手陣がいる中で、内野も良い選手がそろっている。どんな形でも一つずつアウトを積み重ねることが、九回の勝利につながる」。大会屈指の投手陣を、こちらも屈指の内野陣が支えている。【吉川雄飛】
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