オーストラリア先住民アボリジニの人々は、文字を持たなかったため儀式や舞踊、歌、ボディーペインティングなど、さまざまな視覚的あるいは身体的表現を通して文化や歴史を伝えてきた。それらは今、キャンバスやアクリル絵の具といった西洋の手法を用いて表現され、現代美術の場で存在感を高めている。特に近年、注目を集めているのが女性作家だ。東京・京橋のアーティゾン美術館で開催中の「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」は、アボリジニのルーツを持つ女性作家たちの現在地を照らし出す。
アボリジナルアートが評価され出したのは1970年代になってから。しかし、その中心にいたのはすべて男性作家だった。主題の多くが神話的物語や儀式の場面で、それは男性しか描くことができなかったことが大きな理由だ。
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