はるか遠くの地震でも…高台避難に駅施錠 警報最西端の和歌山も不安

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和歌山県田辺市役所1階の多目的ホールに避難した市民ら=2025年7月30日午後1時10分、大澤孝二撮影 拡大
和歌山県田辺市役所1階の多目的ホールに避難した市民ら=2025年7月30日午後1時10分、大澤孝二撮影

 ロシア・カムチャツカ半島付近で30日朝に起きた地震の影響で、東日本だけでなく和歌山県にも津波警報が発表され、実際に津波が到達した。県によると30日午後5時半現在で、19市町が、県内人口の4割に当たる計37万3650人に避難指示を出した。はるか遠くで起きた地震で、多くの住民たちが高台やビルなどに避難し、交通機関も乱れた。

 和歌山県南部の田辺市では、高台に建つ市役所に約250人が身を寄せた。1階の多目的ホールの他、会議室も臨時避難所として開放した。70代女性は車で移動してきたといい「かなり道が混んでいた。こういう緊急事態では、駐車券はなしにして、可能な限り早く止められるようにしてほしい」と訴えた。

 県内最多の約17万5000人に避難指示が出された和歌山市の和歌山城ホール4階の会議室では、約30人が食料などを持ち寄って避難していた。義母(88)を連れて車で避難してきた女性(62)は「東日本大震災の津波の映像が頭に浮かんで、早く逃げなくてはならないと思った。避難指示が解除されるまで待機する」と不安そうな表情を浮かべた。

 和歌山県内などで鉄道の運転見合わせが相次いだ。JR西日本によると、きのくに線は全線で運転を見合わせ、阪和線などの一部区間でも一時運転を見合わせた。特急「くろしお」は終日運休した。

JR和歌山駅のドアが施錠され、駅ビルで運行再開を待つ利用者たち=和歌山市で2025年7月30日午後1時18分、加藤敦久撮影 拡大
JR和歌山駅のドアが施錠され、駅ビルで運行再開を待つ利用者たち=和歌山市で2025年7月30日午後1時18分、加藤敦久撮影

 和歌山市のJR和歌山駅では、駅員が構内にいた人たちに避難を呼びかけた後、正午過ぎに駅に入るドアを施錠した。「全線運転見合せ中」という厚紙が張られた。駅員も避難し、その後に駅を訪れた人たちは困惑し、駅ビル内の階段や通路で、運転再開を待つ学生や観光客らが列を作った。大阪方面から和歌山市に墓参りに訪れたという80代の男性は「駅が閉まっていて驚いた。電車が動くまで待たないといけない」と肩を落としていた。

 海や空の便にも影響が出た。和歌山港と徳島港を結ぶ南海フェリーは少なくとも7便が欠航した。関西国際、大阪(伊丹)、神戸各空港を運営する関西エアポートや航空会社によると、津波警報で仙台空港の滑走路が閉鎖された影響で、仙台と3空港を結ぶ計32便が欠航した。

 関西電力は、御坊火力発電所(和歌山県御坊市)で30日午前に予定していた稼働を中止し、現場の社員ら90人は避難した。電力需要に応じて稼働させているが、電力供給に影響はないという。【駒木智一、大澤孝二、小坂春乃、中村宰和、妹尾直道】

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