
海上自衛隊の潜水艦修理などを巡る不適切な物品授受について、防衛省による特別防衛監察の最終報告がまとまった。「慣習」として海自と造船会社の双方で不正が常態化していた実情の一端が明らかになる一方、全容解明にはほど遠い内容となった。
業界主要各社に及ぶ問題
「コンプライアンス(法令順守)の意識・体制が脆弱(ぜいじゃく)だったと言わざるを得ない」。防衛省の最終報告は、造船各社も現場の実情に応じた実効性のある法令順守の体制を十分に確保していなかったと指摘した。
川重からの物品提供は「大部分は艦船の業務に使用されるもの」とされたが、乗組員らの求めに応じる形で私物へとエスカレートしていった。他の造船会社からは「基本的に業務で使用される物品しか提供されていなかった」が、三菱重工業は潜水艦と水上艦の合計で年数百万円▽ジャパンマリンユナイテッド(JMU)は潜水艦向けが過去7年分で約500万円、水上艦向けは過去10年分で約2億円▽佐世保重工業は水上艦向けに過去7年分で約600万円――相当を提供しており、問題は業界主要各社に及んでいる。
慣行化で「不適切さ自覚しにくく」
造船…
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