
オーストラリア政府は5日、2030年の運用開始を目指す海軍の新型フリゲート艦に、日本の三菱重工業が開発した「もがみ型」の改良型を採用すると発表した。計画は、今後の両国の安全保障や産業にとってどのような意味があるのか。
殺傷能力ある大型主要装備では初
「やってきたことが報われた」
豪政府が導入予定の次期フリゲート艦に、日本が提案した「もがみ型」の改良型を選定したことを受け、防衛省幹部は安堵(あんど)の表情を浮かべた。
豪州は老朽化したフリゲート艦に代わり、新たに最大11隻を導入する計画で、最新鋭の「もがみ型」をベースに日豪で共同開発を行う。
武器輸出を大幅に緩和した2014年の「防衛装備移転三原則」の策定以降、完成品の防衛装備の輸出はフィリピンへの防空レーダー2基のみだった。日本は実績不足が相手国から不安視され、共同開発や装備品輸出に苦戦してきた。今回の結果は日本の装備移転政策にも大きな影響を与えそうだ。
殺傷能力が高い武器は三原則に基づき輸出が制限されるが、共同開発・生産であれば移転できる。「もがみ型」が輸出されれば、殺傷能力のある大型主要装備の完成品が初めて海外に輸出されることになる。
「もがみ型」は、従来の約半数の90人ほどで運用が可能だ。戦闘指揮所を1カ所に集約したほか、艦内の随所に監視カメラを設置するなどして「省人化」を実現した。防衛省幹部は「護衛艦の建造は部品を含めて関連産業の裾野が広い。日本の生産能力向上にも効果がある」と防衛産業の基盤強化に期待した。
実は過去に豪州相手で失敗も
安全保障上のメリットもある。…
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