
トランプ米政権が関税協議で合意するのは、これで6件目となった。経済規模の大きい日本、欧州連合(EU)と相次いで合意にこぎ着け、交渉の大きな「ヤマ」を乗り越えた形だ。主要な国・地域との貿易戦争が激化する懸念はひとまず遠のいたものの、半導体や医薬品への関税発動など新たな火種も残っている。
米国の2024年の対EUのモノの貿易収支は、輸出3702億ドル(約55兆円)に対し輸入6058億ドル(約90兆円)で、差し引き2356億ドル(約35兆円)の赤字だった。自動車大国ドイツなどが含まれている影響で、EUに対する貿易赤字は中国に次ぎ2番目に大きく、トランプ大統領は「EUは米国を長年にわたって利用してきた」と批判を重ねていた。
トランプ氏は関税協議で合意できなければ、EUに「相互関税」上乗せ分の停止期限である8月1日以降、計30%の高関税を課すと書簡で「脅迫」。これに対しEUも報復措置を表明するなど緊迫した状況が続いていた。…
Comments