なぜ起きた? 九州大雨のメカニズム 2021年の「戻り梅雨」再来

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大雨で増水した白川=熊本市中央区で2025年8月11日午前7時42分、中村敦茂撮影 拡大
大雨で増水した白川=熊本市中央区で2025年8月11日午前7時42分、中村敦茂撮影

 9日から11日にかけて九州北部を中心に襲った大雨は、なぜ起きたのか。九州大大学院の川村隆一教授(気候力学)は、2021年8月に九州など広い範囲に記録的な大雨をもたらした「戻り梅雨」とメカニズムが似ていると指摘する。

 川村教授は21年と今回との共通点に、異なる発生源から生じた二つの水蒸気が九州付近で合流したことを挙げる。一つはインド洋や南シナ海、アジア大陸からのアジアモンスーンを発生源とする水蒸気。もう一つは、日本の南海上で強まった太平洋高気圧の西の縁に沿って流入した水蒸気だ。

九州大大学院の川村隆一教授=本人提供 拡大
九州大大学院の川村隆一教授=本人提供

 モンスーンからの水蒸気は高度3~4キロに、高気圧からは高度1キロ近くに流れ込み、二つの水蒸気が九州付近で重なり合うことに。その結果、暖かく湿った空気層が縦に長く作られて大気の状態が不安定となり、各地で線状降水帯が発生したという。加えて、小規模の低気圧が前線上を進み、水蒸気の流入を促した。

 8月は例年、太平洋高気圧が日本の上空を覆うが、今回は赤道付近の上昇気流が一時的に南下した影響で高気圧が日本の南海上にあり、梅雨末期と似た気圧配置となった。大陸の低気圧とゆっくりとした動きの太平洋高気圧の間で気圧の落差が大きくなり、南西寄りの風が吹き続けたことも、線状降水帯が繰り返し発生した要因とみられる。

 川村教授は「太平洋高気圧が8月に入って日本の南で強まり始め、北陸や九州南部で大雨をもたらすなど梅雨末期のような状態になりつつあった。その状況が顕著に表れたのが、今回の大雨だった」と分析する。【山崎あずさ】

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