「座敷牢のよう」記者に届いた訴え 北大「追い出し部屋」にみる悪弊

Date: Category:環境・科学 Views:3 Comment:0
北海道大理学研究院=札幌市北区で2025年5月20日午前10時53分、鳥井真平撮影
北海道大理学研究院=札幌市北区で2025年5月20日午前10時53分、鳥井真平撮影

 北海道大理学研究院の化学部門で複数の准教授が「教授会によって組織的に孤立させられている」と訴えていた問題は、准教授たちの独立した研究室運営と学生の研究指導再開が4月から認められ、事態が一部改善された。

 それでも、たった一人で研究に取り組む「孤立状態」が4年以上続いた准教授もおり、教授会側の責任は決して軽くない。

北大の「追い出し部屋」問題を取材してきた社会部北海道グループ(前くらし科学環境部)、鳥井真平デスクは、「国や研究機関は同様の事例が他大学でもないか調べ、アカデミアで続く悪弊から脱却すべきだ」と訴えます。

 「到底許容できない状況が続いている」。ある若い研究者から、そんな訴えが舞い込んだのは2023年2月のことだ。教授退職後の研究室に残された准教授や助教が「たった一人で追い出し部屋で研究を続けている」というのだ。別の関係者からも同様の情報が届いた。「部門には自浄作用が全くない」。聞けば、不遇な状況にあったのは研究実績も十分にある教員たちだった。助けを求めていた。

 その後1年以上かけ、関係者に話を聞いて回った。「○○さんも追い出された」「座敷牢(ざしきろう)のような狭い部屋に入れられた」。本人が望まないまま学外へ移籍したケースも少なくなかった。

 学生指導や研究室運営に関わっていない教員は複数いた。ある准教授は、与えられた事務スペースがわずか4平方メートル。2人でいると立ってすれ違うのも難しい狭さだった。

内部文書の記載に驚き

 内部文書を入手して驚いた。化学部門の教授会に当たる「講座委員会」は、教授不在となった研究室に残された教員を「旧スタッフ」などと記載し、他の教員と明確に区別していたのだ。

 さらに、20年度には講座委によって「内部基準」が作られていた。旧スタッフに、新たな学生は配属…

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