長引く腰痛には、痛み止めや手術よりも、痛みに対する考え方や行動を変えることが有効かもしれない――。そんな研究成果を、オーストラリアなどの研究チームが5日の英医学誌ランセットの姉妹誌に発表した。
ストレスに対する考え方や行動に働きかける心理療法の「認知行動療法」はうつ病などの治療に取り入れられている。腰痛を自己管理する方法としても有効だとする報告があったが、長期的な効果は分かっていなかった。
研究は2018~20年、3カ月以上の慢性的な腰痛がある成人492人を対象に豪州のクリニックで実施。通常の治療をするグループと、認知行動療法をするグループに分けられた。
認知行動療法では、痛みについての理解や痛みに段階的に慣れること、健康的な生活習慣を身に付けることなどが指導され、約3カ月にわたる最大7回の治療と、1回の追加治療が行われた。
3年後のアンケートに回答した312人のうち、認知行動療法を実施したグループは、活動の制限が軽減され、痛みも弱まっていた。チームは「認知行動療法へアクセスしやすくすることで、腰痛による負担を大幅に軽減できる可能性がある」としている。【寺町六花】
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