国のマニュアル、実効性は 原発避難車両の汚染検査 自治体の現実

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日本原子力発電東海第2原発の事故を想定した訓練で、ワイパーの検査をする職員ら=茨城県那珂市で2024年3月、西夏生撮影
日本原子力発電東海第2原発の事故を想定した訓練で、ワイパーの検査をする職員ら=茨城県那珂市で2024年3月、西夏生撮影

 もし原発事故が起きたら、原発から5~30キロ圏の住民は状況によって、避難の途中で自治体から、あることを求められる。

 避難の時に乗っている自家用車や乗り合いバスのタイヤなどが、放射性物質に汚染されていないかを調べる汚染検査だ。「避難退域時検査」という名称が付いている。

 全2回の第1回です。2回目と関連インタビューは29日午前5時アップ予定です
 2・原発避難、汚染検査の機材は足りる? 「自治体間で融通」に潜む懸念
 <関連インタビュー>
 「複合災害になれば…」 原発を抱える町のトップが防災庁に望むこと

 県によっては、避難の対象は80万人超に上る。多くの自治体が検査のため、大人数の動員を迫られることになる。

 そこで専門家が懸念していたのは、事故で役所内が切迫する中、果たして大人数の動員をかけられるのか――だった。

国想定の標準は1会場132人

 「避難退域時検査に係る要員は3交代制を基本とし、1日あたりの標準的な要員数は、1会場132名」

 原子力防災を担当する内閣府と、原子力規制委員会の事務局を担う原子力規制庁によるマニュアルには、そう記されている。

 マニュアルは、汚染検査の業務を担う21道府県の職員らの参考になればと作成された。

 一つの検査会場には責任者のほか、検査や除染、誘導などの役割ごとに班を置く。このため、1会場あたりの標準的な要員数が、これだけ膨らむという。

避難ルート複数化で要員1000人超も

 ほとんどの道府県では、避難ルートが複数になる。それに伴って検査会場も増える。

 毎日新聞は、21道府県を対象に汚染検査で1日あたり最大で何人動員することになるのかを取材した。

 1000人を超えていたのは、中国電力の島根原発の30キロ圏に含まれる鳥取県と島根県で、それぞれ1650人、1350人だった。

 原発事故の時に開設を想定している検査会場が鳥取県で8カ所、島根県で14カ所と多いことが影響している。

 ほかに大人数の動員を想定しているのは、東北電力の女川原発が建つ宮城県の約900人、九州電力の川内(せんだい)原発がある鹿児島県の801人、関西電力の美浜原発など四つの原発が建つ福井県の800人、九電の玄海原発がある佐賀県の792人などだ。

 「緊急時対応」と呼ばれている政府の避難計画がある自治体でも、何人の動員が必要なのか見立てがない所があった。

 北海道…

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