
「SHIOPAN(塩パン)」が今、タイでブームになっている。発祥は日本とされるが、今や首都バンコクでは塩パンを扱わないパン屋を探す方が難しいほどの人気ぶりだ。一体、何がタイの人々をそこまでひきつけたのか。
塩パンは、生地にバターを練り込み、表面をカリッと焼き上げて岩塩をふりかけたシンプルなパンだ。外はサクッと、中はもっちりとした食感で、塩気と甘みの絶妙さが幅広い層の心をつかんでいる。

今年1月にバンコクでオープンした「コウジベーカリーハウス」は、塩パンを看板商品に据えたところ、連日行列ができる人気店となった。オーナーのシャット・セッターシリモンコンさん(36)は「塩パンブームとオープンの時期が重なり、本当に幸運だった」と振り返る。
タイでのブームのきっかけとなったのは、昨年後半ごろ、人気インフルエンサーが韓国の有名ベーカリーの塩パンを紹介したこととされる。SNS(交流サイト)を中心に注目が高まったことで、今年に入り国内のベーカリーやカフェがこぞって販売するようになった。

元々日本から輸入した小麦粉を使った日本風ベーカリーの開業を構想していたシャットさんは、塩パンブームの兆しを察知し、看板商品として売り出した。オリジナルの塩パンに加え、卵サラダやとんかつ、あんバター、ブリュレ風など、アレンジ商品も次々に展開し、ヒットにつなげた。
「タイ人は『ふわふわのパン』が好きな人が多いので、外はカリッと、中はふんわりという塩パンの新しい食感が受けたのでは」とシャットさんは分析する。
塩パンは夏場の塩分補給にもなるため、常夏のタイにぴったりだ。シャットさんは「ブームはいずれ落ち着くだろうが、塩パンはクロワッサンのように、パン屋の定番商品として定着すると思う」と笑顔で語った。【バンコク国本愛】
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